担子菌門(Basidiomycota)

担子菌門(Phylum Basidiomycota)

大半のキノコ、サビキンやクロボキンなどの植物寄生菌などの仲間です。担子器という名の細胞の外に胞子が形成されるのが特徴です。

菌界の約30%を占める子嚢菌門に次いで大きなグループです。3亜門を含みます。姉妹群は恐らく子嚢菌門(Ascomycota)です。

なおエントリザ菌綱を独立したエントリザ門とせず、担子菌門に含める学説もあります。以下は内部分類についての一説です。

• プクシニア菌(サビキン)亜門(Subphylum Pucciniomycotina)
• Orthomycotina
  • クロボキン亜門(Subphylum Ustilaginomycotina)
  • ハラタケ(菌蕈)亜門(Subphylum Agaricomycotina)

プクシニア菌(サビキン)亜門(Subphylum Pucciniomycotina)

プクシニア菌亜門またはサビキン亜門。サビキンと呼ばれる植物寄生菌の仲間です。まるで錆のように見えることからこの名があります。植物に病害をもたらすため、農業上重要な病原体が多いです。

9綱から成ります。他の2亜門(クロボキン亜門 + ハラタケ(菌蕈)亜門)と姉妹群である可能性が高いです。大半の種はプクシニア菌(サビキン)綱に所属します。以下は内部分類についての一説です。

• (Unnamed)
  • トリチラキウム菌綱(Class Tritirachiomycetes)
  • (Unnamed)
    • ミクシア菌綱(Class Mixiomycetes)
    • アガリコスティルブム菌綱(Class Agaricostilbomycetes)
• (Unnamed)
  • シストバシディウム菌綱(Class Cystobasidiomycetes)
  • (Unnamed)
    • (Unnamed)
      • クラッシクラ菌綱(Class Classiculomycetes)
      • ミクロボトリウム菌綱(Class Microbotryomycetes)
    • (Unnamed)
      • クリプトミココラクス菌綱(Class Cryptomycocolacomycetes)
      • (Unnamed)
        • アトラクティエラ菌綱(Class Atractiellomycetes)
        • プクシニア菌(サビキン)綱(Class Pucciniomycetes)

クロボキン亜門(Subphylum Ustilaginomycotina)

クロボキンと呼ばれる植物寄生菌の仲間です。主にイネ科植物(トウモロコシなど)に寄生し、黒穂病、もち病などを引き起こすものが知られています。

4綱から成ります。ハラタケ(菌蕈)亜門と姉妹群である可能性が高いです。

• クロボキン綱(Class Ustilaginomycetes)
• モチビョウキン綱(Class Exobasidiomycetes)
• マラッセジア菌綱(Class Malasseziomycetes)
• Monilielliomycetes綱(Class Monilielliomycetes)

ハラタケ(菌蕈)亜門(Subphylum Agaricomycotina)

ハラタケ亜門あるいは菌蕈亜門(Hymenomycotina)。キノコと呼ばれる生き物の大半はこのグループに所属します。

参考資料によって異なりますが、3～5綱ほどから成ります。当サイトでは5綱を認めています。クロボキン亜門と姉妹群である可能性が高いです。

大半の種はハラタケ綱に所属します。ハラタケ綱以外では食用キノコのシロキクラゲなどが有名です。

以下は内部分類についての一説です。所属亜門不明とされることもあるワレミア菌綱は当グループに含めています。

• Bartheletiomycetes綱(Class Bartheletiomycetes)
• ワレミア菌綱(Class Wallemiomycetes)
• (Unnamed)
  • シロキクラゲ菌綱(Class Tremellomycetes)
  • (Unnamed)
    • アカキクラゲ菌綱(Class Dacrymycetes)
    • ハラタケ綱(Class Agaricomycetes)

ハラタケ綱(Class Agaricomycetes)

真正担子菌綱(Homobasidiomycetes)とも。シイタケ、キグラゲ、マイタケ、ホウキタケ、キヌガサタケなどの仲間です。担子菌門のうち半分ほどの種がこのグループに所属すると推定されています。

2つの亜綱と、所属亜綱不明のいくつかの目から成ります。20前後の目(当サイトでは19目)が所属します。以下は内部分類についての一説です。

• アンズタケ目(Order Cantharellales)
• ロウタケ目(Order Sebacinales)
• キクラゲ目(Order Auriculariales)
• (Unnamed)
  • スッポンタケ亜綱(Subclass Phallomycetidae)
    • ヒメツチグリ目(Order Geastrales)
    • ヒステランギウム目(Order Hysterangiales)
    • ラッパタケ目(Order Gomphales) - ホウキタケ
    • スッポンタケ目(Order Phallales) - キヌガサタケ
  • (Unnamed)
    • トレキスポラ目(Order Trechisporales)
    • タバコウロコタケ目(Order Hymenochaetales)
    • イボタケ目(Order Thelephorales)
    • サルノコシカケ(タマチョレイタケ)目(Order Polyporales) - マイタケ
    • コウヤクタケ目(Order Corticiales)
    • キカイガラタケ目(Order Gloeophyllales)
    • (Unnamed)
      • ベニタケ目(Order Russulales)
      • ハラタケ亜綱(Subclass Agaricomycetidae)
        • ハラタケ目(Order Agaricales) - シイタケなど(後述)
        • アテリア目(Order Atheliales)
        • イグチ目(Order Boletales)
        • アミロコルティシウム目(Order Amylocorticiales)
        • ジャアピア目(Order Jaapiales)

木材を分解できる木材腐朽菌(特にリグニンを分解できる白色腐朽菌)の多くはこのグループに所属しています。

ハラタケ目(Order Agaricales)

食用キノコ、毒キノコを問わず、著名なキノコを数多く含みます。ハラタケ綱のうち半分ほどの種がこのグループに所属すると推定されています。

• 主な食用キノコ - シイタケ、マツタケ、ブナシメジ、ホンシメジ、エノキタケ、ナメコ、マッシュルーム(ツクリタケ)、ハラタケ、ヒラタケ、エリンギ、キシメジ、チチタケ、ホコリタケ
• 主な毒キノコ - ドクツルタケ、シロタマゴテングタケ、タマゴテングタケ、ベニテングタケ、テングタケ、ワライタケ、ツキヨタケ、コレラタケ、ドクササコ