バクテリア(真正細菌)ドメイン(Bacteria)

目レベルの分類(シュードモナス門は綱、バシラス界は門まで)(Orders)

ドメイン
Domain

Kingdom
上門
Superphylum

Phylum

Class

Order
バクテリア(真正細菌)ドメイン
Bacteria







































バクテリア(真正細菌)ドメイン
Bacteria







































バクテリア(真正細菌)ドメイン
Bacteria
シュードモナス界
Pseudomonadati







































シュードモナス界
Pseudomonadati
FCB上門
FCB
バクテロイデス門
Bacteroidota
バクテロイデス綱
Bacteroidia
バクテロイデス目
Bacteroidales
フラボバクテリウム綱
Flavobacteriia
フラボバクテリウム目
Flavobacteriales
スフィンゴバクテリウム綱
Sphingobacteriia
スフィンゴバクテリウム目
Sphingobacteriales
シトファーガ綱
Cytophagia
シトファーガ目
Cytophagales
キティノファガ綱
Chitinophagia
キティノファガ目
Chitinophagales
ロドテルムス門
Rhodothermota
ロドテルムス綱
Rhodothermia
ロドテルムス目
Rhodothermales
バルネオラ門
Balneolota
バルネオラ綱
Balneolia
バルネオラ目
Balneolales
クロロビウム門
Chlorobiota
クロロビウム綱
Chlorobea
クロロビウム目
Chlorobiales
イグナヴィバクテリウム綱
Ignavibacteria
イグナヴィバクテリウム目
Ignavibacteriales
フィブロバクター門
Fibrobacterota
フィブロバクター綱
Fibrobacteria
フィブロバクター目
Fibrobacterales
ゲマティモナス門
Gemmatimonadota
ゲマティモナス綱
Gemmatimonadetes
ゲマティモナス目
Gemmatimonadales
ロンギミクロビウム綱
Longimicrobia
ロンギミクロビウム目
Longimicrobiales
カルディトリクス門
Calditrichota
カルディトリクス綱
Calditrichae
カルディトリクス目
Calditrichales
PVC上門
PVC
プランクトミセス門
Planctomycetota
プランクトミセス綱
Planctomycetia
プランクトミセス目
Planctomycetales
フィシスファエラ綱
Phycisphaerae
フィシスファエラ目
Phycisphaerales
クラミジア門
Chlamydiota
クラミジア綱
Chlamydiia
クラミジア目
Chlamydiales
ヴェルコミクロビウム門
Verrucomicrobiota
ヴェルコミクロビウム綱
Verrucomicrobiae
ヴェルコミクロビウム目
Verrucomicrobiales
オピトゥトゥス綱
Opitutae
オピトゥトゥス目
Opitutales
プニセイコックス目
Puniceicoccales
スパルトバクテリア綱
Spartobacteria
クトニオバクター目
Chthoniobacterales
キリティマティエッラ門
Kiritimatiellota
キリティマティエッラ綱
Kiritimatiellae
キリティマティエッラ目
Kiritimatiellales
レンティスファエラ門
Lentisphaerota
レンティスファエラ綱
Lentisphaeria
レンティスファエラ目
Lentisphaerales
ヴィクティヴァリス目
Victivallales
オリゴスファエラ綱
Oligosphaeria
オリゴスファエラ目
Oligosphaerales
所属不明
incertae sedis
スピロケータ門
Spirochaetota
スピロケータ綱
Spirochaetia
(Spirochaetes)
スピロケータ目
Spirochaetales
ブラキュスピラ目
Brachyspirales
ブレウィネマ目
Brevinematales
レプトスピラ目
Leptospirales
シュードモナス門[1]
Pseudomonadota
アルファプロテオバクテリア綱
Alphaproteobacteria
ベータプロテオバクテリア綱
Betaproteobacteria
ガンマプロテオバクテリア綱
Gammaproteobacteria
デルタプロテオバクテリア綱
Deltaproteobacteria
イプシロンプロテオバクテリア綱
Epsilonproteobacteria
ゼータプロテオバクテリア綱
Zetaproteobacteria
マリプロフンドゥス目
Mariprofundales
オリゴフレクスス綱
Oligoflexia
アシドチオバチルス綱
Acidithiobacillia
アシドチオバチルス目
Acidithiobacillales
アシドバクテリウム門
Acidobacteriota
アシドバクテリウム綱
Acidobacteriia
アシドバクテリウム目
Acidobacteriales
ホロファガ綱
Holophagae
ホロファガ目
Holophagales
アカントプレウリバクター目
Acanthopleuribacterales
ブラストカテッラ綱
Blastocatellia
ブラストカテッラ目
Blastocatellales
Solibacteres綱
Solibacteres
Solibacterales目
Solibacterales
アキフェックス門
Aquificota
アキフェックス綱
Aquificae
アキフェックス目
Aquificales
デフェリバクター門
Deferribacterota
デフェリバクター綱
Deferribacteres
デフェリバクター目
Deferribacterales
テルモデスルフォバクテリウム門
Thermodesulfobacteriota
テルモデスルフォバクテリウム綱
Thermodesulfobacteria
テルモデスルフォバクテリウム目
Thermodesulfobacteriales
ニトロスピラ門
Nitrospirota
ニトロスピラ綱
Nitrospira
ニトロスピラ目
Nitrospirales
カルディセリクム門
Caldisericota
カルディセリクム綱
Caldisericia
カルディセリクム目
Caldisericales
エルシミクロビウム門
Elusimicrobiota
エルシミクロビウム綱
Elusimicrobia
エルシミクロビウム目
Elusimicrobiales
クリシオゲネス門
Chrysiogenota
クリシオゲネス綱
Chrysiogenetes
クリシオゲネス目
Chrysiogenales
ディクチオグロムス門
Dictyoglomerota
ディクチオグロムス綱
Dictyoglomia
ディクチオグロムス目
Dictyoglomales
フソバクテリウム界
Fusobacteriati
フソバクテリウム門
Fusobacteriota
フソバクテリウム綱
Fusobacteriia
フソバクテリウム目
Fusobacteriales
テルモトガ界
Thermotogati
テルモトガ門
Thermotogota
テルモトガ綱
Thermotogae
テルモトガ目
Thermotogales
コスモトガ目
Kosmotogales
メソアキディトガ目
Mesoaciditogales
ペトロトガ目
Petrotogales
デイノコックス門[2]
Deinococcota
デイノコックス綱
Deinococci
デイノコックス目
Deinococcales
テルムス目
Thermales
シネルギステス門
Synergistota
シネルギステス綱
Synergistia
シネルギステス目
Synergistales
バシラス界
Bacillati
バシラス門[3]
Bacillota
マイコプラズマ門[4]
Mycoplasmatota
モリクテス綱
Mollicutes
放線菌門
Actinomycetota
シアノバクテリア門
Cyanobacteriota
クロロフレクスス門
Chloroflexota
アルマティモナス門
Armatimonadota
所属不明
incertae sedis
CPR群
CPR


分類表更新:2018年12月(2025年10月改訂)


  1. ^ プロテオバクテリア門(Proteobacteria)
  2. ^ デイノコックス・テルムス門(Deinococcus-Thermus)
  3. ^ フィルミクテス門(グラム陽性細菌門)(Firmicutes)
  4. ^ テネリクテス門(Tenericutes)


バクテリア(真正細菌)ドメイン(Domain Bacteria)

アーキア(古細菌)を除く原核生物(Prokaryota)が所属します。一般的な意味での「細菌」はこのグループを意味します。

バクテリア(Bacteria)とは、ギリシア語で小さな杖を意味する「βακτήριον(bakterion)」に因んでいます。姉妹群はアルカリア(Arkarya)(= アーキア(古細菌)ドメイン + 真核生物ドメイン)です。

人との関わりでは、病原細菌から発酵細菌、腸内細菌まで、様々なものが存在しています。その多様性・生物量は膨大です。

およそ30程度の門(Phylum)が知られており、当サイトでは33門を採用しています(CPR群は除く)。

バクテリア(真正細菌)ドメイン内の分類については、諸説ありますが、以下4界とCPR群の5グループに分けられる方法が有力です。

当サイトにおけるバクテリア(真正細菌)ドメインの界階級の分類は2024年に公表された『原核生物の2つのドメインと7つの界の名称の正式発表』に基づいています。

また、バクテリア(真正細菌)ドメインの門階級の学名は、2021年に国際原核生物命名規約(ICNP)によって、語尾が-otaに統一されています。一部の門は語尾だけでなく学名が丸ごと変更されています(例:プロテオバクテリア門(Proteobacteria) → シュードモナス門(Pseudomonadota))。

シュードモナス界(Kingdom Pseudomonadati)

グラム陰性菌を中心とするグループです。外膜を持ち、薄いペプチドグリカン層に特徴づけられます(例外有り)。

姉妹群ははっきりしていません(一説によればバシラス界とも)。

水中を中心に進化したことから、ヒュドロバクテリア(Hydrobacteria)とも呼ばれます。

FCB上門、PVC上門、スピロケータ門、シュードモナス門などを含み、CPR群以外の通常のバクテリアの内、約3割を占めると推測されています。

当サイトでは暫定的に23門を認めます。

かつてネジバクテリア亜界(Subkingdom Negibacteria)や、グラキリクテス下界(Infrakingdom Gracilicutes)と呼ばれたグループに近いですが、含まれる生物は一部異なります。

FCB上門(Superphylum FCB)

フィブロバクター門(Fibrobacterota)、クロロビウム門(Chlorobiota)、バクテロイデス門(Bacteroidota)などの仲間です。暫定的に7門13綱を含みます。

上記3門の頭文字からFCBの名が付けられており、分類階級を与える場合は上門とすることが多いです。スフィンゴバクテリア上門(Superphylum Sphingobacteria)とも呼ばれます。

PVC上門とは近縁で、姉妹群またはPVC上門を含む可能性があります。分類の見直しが行われている最中であり、今後も大小の変更が予想されます。

クロロビウム綱には酸素非発生型の光合成を行う緑色硫黄細菌を含みます。

PVC上門(Superphylum PVC)

プランクトミセス門(Planctomycetota)、ヴェルコミクロビウム門(Verrucomicrobiota)、クラミジア門(Chlamydiota)などの仲間です。暫定的に5門9綱を含みます。

上記3門の頭文字からPVCの名が付けられており、分類階級を与える場合は上門とすることが多いです。プランクトバクテリア上門(Superphylum Planctobacteria)とも呼ばれます。

FCB上門とは近縁で、姉妹群またはFCB上門に含まれる可能性があります。クラミジア門(綱)には病原性の種を多く含みます。

スピロケータ門(Phylum Spirochaetota)

Spirochaetae、Spirochaetaeotaとも。スピロケータ(スピロヘータ)の仲間です。暫定的に1綱4目を含みます。

以前はSpirochaetesと呼ばれていましたが、2021年に国際原核生物命名規約(ICNP)によって、Spirochaetotaと改名されました(和名はそのままです)。

典型的ならせん菌で、スピロケータ(Spirochaete)という言葉もギリシア語でコイル状の髪(σπειροχαίτη)という意味です。

いくつかの種は梅毒、回帰熱、ライム病など病原性を持つことで有名です。またシロアリやゴキブリの腸に共生していて、木材など難消化性の食物の消化に寄与している可能性があります。

シュードモナス門(Phylum Pseudomonadota)

プロテオバクテリアの仲間です。暫定的に8綱を含みます。非常に大きなグループであり、バクテリア最大の多様性を持っています。

以前はプロテオバクテリア門(Phylum Proteobacteria)と呼ばれていましたが、2021年に国際原核生物命名規約(ICNP)によって、シュードモナス門(Phylum Pseudomonadota)と改名されました。

プロテオバクテリアの「プロテオ(Proteo)」とは、変幻自在に姿を変えるギリシア神話の神プロテウスに因んでいます。

大腸菌、サルモネラ、ビブリオ、ヘリコバクターなど有名な細菌を多く含みます。

フソバクテリウム界(Kingdom Fusobacteriati)

フソバクテリウム門1門のみから成るグループです。そのほとんどが嫌気性細菌です。

系統的に特殊な位置にあるようで、この門のみでフソバクテリウム界を構成します。

門階級について、以前はFusobacteriaと呼ばれていましたが、2021年に国際原核生物命名規約(ICNP)によって、Fusobacteriotaと改名されました(和名はそのままです)。

テルモトガ界(Kingdom Thermotogati)

テルモトガ門、デイノコックス門、シネルギステス門から成るグループです。

その多くが好熱性だったり嫌気性だったりで、放射線耐性を持つものも存在します。

系統的に他の細菌からかなり離れているようで、独自の界として認められています。当サイトでは暫定的に3門を認めます。

バシラス界(Kingdom Bacillati)

グラム陽性菌を中心とするグループです。外膜を持たず、厚いペプチドグリカン層に特徴づけられます(例外有り)。

最近の系統解析によると、単系統群である可能性が高いです。但し含まれる門は分類体系により異なる場合があります。

バシラス門や放線菌門、シアノバクテリア門が有名です。当サイトでは暫定的に6門を認めます。

CPR群(Group CPR)

CPRはCandidate Phyla Radiationの略で、培養例がない巨大系統群です。バクテリア全体の15%以上を占めると見積もられています。

35以上の門が含まれると推定されます。当サイトの分類表では上門相当としていますが正式な分類階級は未定です。

細胞サイズとゲノムサイズが非常に小さなことが特徴で、核酸やアミノ酸を合成する能力を持たないなど、特殊な遺伝子構造を持つ種が多いです。

恐らく単系統群で、姉妹群はその他のバクテリアとなる可能性が高いです。バクテリア(真正細菌)の中で最も初期に分岐したと推測されます。


解説文更新:2018年12月02日(2025年10月30日改訂)

参考




(C) 2018 Tenkai Homepage